日本の「フィットネス人口」は、なぜ増えないのかを分析【市場規模】#222

フィットネス業界にいると
『(コロナ以前)最近ジムの数も増えてるし、通う人も増えてるよな~』
『まだまだフィットネス市場は伸びるな~』

なんて事を思ったりします。

 

実際に2010年以降は、ホットヨガブームや、24時間ジム暗闇系フィットネスの普及により、日本のフィットネス人口は増加傾向にあります。
その市場規模は『約4800億円(2018)』です。

 

ん?これって、どれくらいだと思いますか?

 

近い産業で言うと

□ アイスクリーム市場 約5100億
□ ゲームセンター市場 約4550億
□ 豆腐市場 約5000億
□ カップ麺市場 約6050億

つまり、フィットネス市場は、あくまでも娯楽や嗜好品の市場規模と同等です。

 

確かに、生活必需サービスではありませんが "運動は、健康になくてはならないもの" です。
では『なぜ日本のフィットネス人口は少ないか?』を、日本人の特性や文化から一考してみます。

 

 

目次

日本のフィットネス人口は?

日本のフィットネス人口は
日本のフィットネス人口は、約4%(2018)と言われています。これは、フィットネスジムが普及している、先進国の中では30位です。

韓国は7.3%
イギリス14.7%
アメリカ18.7%
スウェーデン21.2%

比較すると、こんな感じです。

 

アメリカは、人口にすると約6,088万人に達し、日本の人口の約50%に匹敵します。
欧米人の体が大きい理由は『DNAではなく、文化的な背景の違いが大きいのでは?』と思っています。

 

日本でも、近年は『筋トレしている人増えたな~』という、肌感覚はあります。
しかし、なぜこれ程までに、諸外国と差が開いているのでしょうか?

 

人口が増加しない理由

日本のフィットネス人口
フィットネス人口が増加しない理由には、日本の文化や、現代の日本人の特性が、大きく関係している様に思います
個人的に思う原因を、いくつか挙げてみると、

□ 予防医療問題
□ 貯金大国問題
□ 平和ボケ問題

などが考えられます。

 

予防医療問題

日本の医療制度は、世界的にも非常にレベルが高いと言われています。コロナによる死者が、圧倒的に少ない理由にも関係しているはずです。

 

日本では、誰もが平等に医療を受けられ、世界的に見ても、安価で治療を受ける事ができます
これらの医療費は、皆様が払う "税金" によって賄われています。

 

しかし、 "診断" "治療" に、多くの税金が使われているのに対し、 "予防医療" には数%しか、税金が使われていません。
実は日本は、この予防医療においては、世界的に見て非常に遅れています

 

つまり、医療費が安いが上に病気になるまで放置し、悪くなってから病院に行くと言う事が、当たり前なのです。
一方で、医療費が高額であったり、十分に受けられない国では、病気にならない為の "予防医療への意識" が必然的に高くなるのです。

 

正に、フィットネスは、予防医療の為に、真先に挙げられるサービスなのです

 

 

もし、病院がない世の中だとしたら『病気=生命の危機に瀕する事態』となるので、運動・食事などあらゆる手段を使って健康維持をしますよね?
これが、日本のフィットネス人口が、増加しない大きな理由なのではないかと思います。

 

現状、日本のフィットネスは、
□ 意識の高い一部の人
□ 既に健康を害した経験がある人

が、集まるサービスなのです。

 

貯金大国問題

実は、日本は "貯金大国" と言われています。
日本人は、お金を使うことに、抵抗がある人が多いのです。

 

2015年の金融庁の調査によると、日本人全体の資産の52%を現金と預金で保有しています
これは、アメリカ14%、イギリス24%など、諸外国と比較するとその差は歴然です。ぶっちぎりです。
更には、日本の高齢者の死亡時の、平均預貯金はなんと!3000万円以上とも言われています。貯金大好き(^^;

 

そう日本人は、お金をあまり使わないのです。
そして、優先的にお金を使う順番は、『衣食住 & 3大欲求』にまつわるサービスです

 

衣食住は、節約する人は多くても、お金を全く払ってない人は、いないと思います。

 

3大欲求は『食欲・睡眠欲・性欲』です。
美味しい食べ物やお酒には、皆お金を使います。
眠くなったら、自宅以外の寝床に泊まる事もあります。
恋人とホテルに泊まったり、性風俗に行く人もいると思います。
風俗産業の市場規模は、なんと約5兆6880億円です。フィットネス産業の約12倍。

 

つまり、その他の嗜好サービスである、フィットネスは二の次、三の次なのです

 

更に言えば、フィットネスは、時間もお金も忍耐力も必要な "ハードな自己投資" という側面も強く、嗜好サービスで比較すると、例えばパチンコ産業の市場規模は約3兆2400億円あり、フィットネスとは圧倒的な差があるのです。

 

平和ボケ問題

憲法改正でたびたび話題になるのが、憲法第9条
日本の、戦争の放棄武力の不保持が、記されています。

 

最近、海外の人と会話する機会が多いのですが、他国の話を聞く度に、つくづく『日本は平和な国だな~』と言う事を痛感します。
しかし、この平和である事には "負の側面" も存在するのです

 

日本でも戦前までは、徴兵制があったり、命懸けで国を守り、国を変えようしていた政治家や、将軍。
政治家がクーデターで、殺されたり、大きな失敗などで、命を断たれる事も少なくありませんでした

 

数十年前まで、そんな世の中であったと思うと『恐ろしいな~』と思う一方、皆命がけで生きていたんだなと、平和ボケをしている現代人との差を感じます

 

現代でも、戦争をしたり、徴兵制度のある国はたくさんあります。
韓国のアスリートが、徴兵制度を免れる為に、血眼になって戦う事は有名な話です。

 

命懸けで生きる為には、健康で強くなくてはなりません
しかし、現代の日本で生きている限り、命の危機に瀕する経験をした事がある人は、ほとんどいないと思います。

 

更には、平和であり子孫を残す必要がなくなった日本男児は、強く逞しくなり、女性に求められ、強い遺伝子を残す必要もなくなりました。
この様な、肉体的に強くなくても、命の危機に瀕する事のない平和な日本では、フィットネスはあまり重要視されないのです

 

 

まだまだ、日本にフィットネスが、普及しない理由はあると思いますが、フィットネスを普及させる為には、逆にこの様な日本の文化や人の特性の中に、何か "ヒント" があるのかもしれません。
 

今日の一言
少し前に、香港の民主活動家アグネス・チョウさんが、香港を守る為に活動していたところ、政府に逮捕されたと言うニュースがありました。
日本では色々と考えにくい事件ですが、本当に命懸けで、自分達を守り抜こうとしている人が、海外にはたくさんいるのです。

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