筋持久力をアップさせる為の「胸鎖乳突筋」の秘密 #289

先日行ってきた超人たちの人体」展が、とにかく面白かったのですが、その中で最も衝撃を受けたのが、ゲレイプ・ドレセル選手の "科学を凌駕する体の進化" でした。
#もう名前が超人

 

ドレセル選手は、東京オリンピックの競泳種目で5冠を達成し、100Mバタフライでは「49秒45」の世界記録で優勝をしました。
この記録は、2019年に自身が樹立した世界記録「49秒50」を更新する記録でした。

 

実は、この100Mバタフライの世界記録は、2019年にドレセル選手が更新するまで、10年間も破られていませんでした。

 

それまでの記録は、北京オリンピックで8冠を達成した、水の怪物ことマイケル・フェルプス選手が、2009年の世界水泳で樹立した「49秒62」でした。
その後に水着の規制も強まった影響もあり、誰もこの記録を破る事ができませんでした。

 

 

今回の展示会では、ドレセル選手の驚異的な強さを「生い立ち・肉体・精神」など様々な側面から研究がなされていました。
その中で注目したのが、ドレセル選手の「圧倒的な呼吸機能」です。

 

ドレセル選手の "科学を凌駕した体の秘密" が明らかになれば、再現性が高まり、人類の進化への大きな手掛かりになるはずです

 

 

目次

筋持久力と呼吸の関係

呼吸筋と骨格筋

例えば、水泳や陸上など "筋持久力の強さ" が、勝敗に大きく影響するスポーツは少なくないと思います。

 

この筋持久力を強化する為には「呼吸筋と骨格筋の関係」を理解する必要があります。
#できるだけ優しく解説

 

まず、呼吸筋と骨格筋とは何か?

■ 呼吸筋
肋骨を開いたり閉じたり、呼吸時に働く筋肉
Ex. 横隔膜、肋間筋、斜角筋、胸鎖乳突筋など

■ 骨格筋
腕や脚など体を動かす時に働く筋肉
EX. 大殿筋、大腿四頭筋、広背筋、大胸筋などなど

この呼吸筋と骨格筋を動かす為のエネルギーとして "酸素" が必要になります。(AT値と言う、ある一定強度を超えると酸素が必要になる)

 

当たり前ですが、酸素を体に取り込む為には "呼吸" が必要があります。
つまり、人間は酸素を吸う為にも、酸素を使って呼吸筋を動かしている為、水泳の様な激しく動きながら酸素を取り込む必要がある競技では「呼吸筋と骨格筋の間で、酸素の奪い合いが起きている」と考えられています

 

激しい運動をすればするほど、心拍数が早くなります。
心拍数が早くなると素早く酸素を取り込む必要がある為、多くの呼吸筋を動かす必要が出てきます。ここで登場するのが「胸鎖乳突筋」なのです。

 

 

「胸鎖乳突筋」の秘密

胸鎖乳突筋の秘密

一般的に、胸鎖乳突筋などの首回りの呼吸筋は、心拍数が低い時には働いていません。
しかし、呼吸が荒くなり心拍数が上がると、肋骨を素早く動かす為に働き始めます。つまり、胸鎖乳突筋は "緊急時に働く呼吸筋" なのです

 

ダッシュをして息が荒くなった時に「首回りの筋肉が働いて、胸を大きく持ち上げる体の反応」を体感した事があると思います。

 

そして、今回の超人たちの人体の研究によってわかった事が「ドレセル選手の胸鎖乳突筋は、他のオリンピックアスリートと比べて1.5倍も発達している」ということです。
#確かに首と顔が同じ太さ

 

そして、ドレセル選手の胸鎖乳突筋は、運動時だけではなく通常時でも働いている事が明らかになったのです。
この胸鎖乳突筋の強い働きが、酸素の取り込みを増やし、横隔膜などの他の呼吸筋への負担を抑え、結果的に、呼吸を減らす事と、骨格筋への効率的なエネルギーの利用を可能にしていると推測されています

 

確かに「胸鎖乳突筋は、鎖骨や肋骨を持ち上げるので、強く働けば肺が膨らむスペースが確保され、酸素の吸引がしやすくなる」という話は納得です。

 

今回の発見は意図的に胸鎖乳突筋を鍛える事で、ドレセル選手の様に高い筋持久力を発揮する体を作る事ができるのでは?という人体の可能性です。

 

では、最後に胸鎖乳突筋をどの様に鍛えるか?を考えてみます。
 

 

「努力呼吸」の利用

努力呼吸とは

先程お話しした様に、一般的に胸鎖乳突筋が呼吸筋として働くのは "激しい運動時のみ" です。
しかし、通常時からこの筋肉が働き鍛えておく事で、ドレセル選手の様な高いパフォーマンスを発揮する体を作る事ができるかもしれません。

 

ここで今回、提案したいのが「努力呼吸」と呼ばれる方法です。

 

「努力呼吸」とは、意図的に強く息を吸って吐く方法です。意図的に長めに息を吸って、長めに吐きます
この「努力呼吸」をする事で、首回りの胸鎖乳突筋が働く事が体感できると思います。

 

この様に「努力呼吸」によって、最初は意図的に胸鎖乳突筋を動かし、徐々に平常時の無意識下で働く様に刷り込んでいきます。
#これであなたもゲレイプ・ドレセル

 

ストレートネックの人は、首を正しいポジションに戻して行わないと、ストレートネックを悪化させる可能性があるので注意が必要です。

 

 

科学が進み、かつては不可能であった「なぜそのアスリートが強いのか?」という謎を解き明かす事が可能になってきています。
そして "科学を凌駕した体の秘密" が明らかになれば、再現性が高まり、未来のアスリートの進化も加速していくはずです

 

もちろん、今回のお話が "筋持久力" に対してどのくらいプラスの効果があるかは、もう少し検証の余地があると思いますが、ドレセル選手を見る限り試してみない手はありません。

 

僕も自分の体で試してみて、何かプラスの変化があれば、またレポートしたいと思います。
#アオキ・ドレセル・コウスケ

 

 

今日の一言
人間の体は、科学でも解明されていない事がまだまだたくさんあります。
そしてドレセル選手の様に、人間が科学を凌駕するなんてことも度々起こります。
自分の体にも「同じ様に可能性が秘められている!」と思うとワクワクしてしまうのは僕だけでしょうか…?

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