スポーツに必要な「お尻を使える体」を作る6STEP 後編 #60

お尻は英語で言うと "ヒップ" ではないと知っていましたか?

実は、俗にイメージするお尻の "" の部分は、英語で "buttocks" と訳します。
"hip" はお尻の桃の部分ではなくて、身体を前から見て『腰のくびれと足の付け根の間の部分』を呼ぶ単語だそうです。筋肉で言うと中殿筋に当たる部分でしょうか?

お尻を鍛えるトレーニングの英語名称には大体『ヒップ〜』と言う名前がついています。
もしかしたら、ここに欧米と日本のお尻を鍛える事に対する "本質的な認識のズレ" が隠れているのかもしれません。

今回の記事は前回の記事
#59 競技能力が向上に必須!"殿筋群優位" の身体を作る6つのStep 前編
の続編です。

"殿筋群優位" の身体づくり

少しだけ前回の記事のおさらいをします。

スポーツパフォーマンス向上や怪我をしない為には、"殿筋群優位" の動作ができる身体作りが必須です。
しかし、スポーツ動作の中だけでそれを習得する事はほぼ不可能で、段階を踏んだトレーニングが必要になります。

今回はその段階を6つのステップに分けご紹介しています。前回の記事ではStep1〜Step3をご紹介しました。

Step1 股関節の機能不全の改善
Step2 その他の機能不全の改善
Step3 アクティベーションドリル

詳しくは
#59 競技能力向上に必須!"殿筋群優位" の身体を作る6つのStep 前編
今回はStep4〜Step6をご紹介します。

Step4 スタビリティを鍛える

股関節は、動作の中では可動性(モビリティ)が求められます。
一方で、立っている時や止まる時、アスレティックポジションなど姿勢を維持する時には安定性(スタビリティ)が求められます。

この止まる姿勢でいかに殿筋群に負荷を載せられるかどうかで、次の一歩の殿筋群の動員率(使える割合)は変化します

言わば、お尻はアクセルブレーキの両方の役割を担っているのです。
馬力のあるスポーツカーでもブレーキが壊れていたらスピードを出す事は中々できません。
強く蹴る力(アクセル)をいくら鍛えても、止める力(ブレーキ)を鍛えない限り、アクセルを活かす事は難しくなるのです。

トレーニングでは徐々に肢位を変化させます。
最初はハーフニーリング(片膝立ち)と呼ばれる姿勢でのスタビリティトレーニングを行います。例えばケーブルチョップとか。

そこから徐々に片足立ち→屈曲位(脚が適度に曲がった状態)でのスタビリティトレーニングにプログレッションさせていきます。

Step3でご紹介した殿筋群のトレーニング動画の後半でもご紹介しています。

Step5 ストレングストレーニング

モビリティ(可動性)、殿筋群を神経筋コントロール、スタビリティを向上させたら、いよいよ俗に言うストレングス(ウェイト)トレーニングを行います。

一般的には、このStep5から取り組む人が多いと思いますが、Step1~4に時間を掛けて取り組めるかどうかでここからのトレーニング効果は数倍に膨れ上がります

ストレングストレーニングは2つの動きに分けて考えます。
1つはヒップヒンジ系トレーニング、もう1つはスクワット系トレーニングです。

最初はヒップヒンジ系のトレーニングで殿筋群の動員を増やしていきます。

⑴ ヒップヒンジ系トレーニング
ヒップヒンジ動作は、簡単に言うとお尻を後ろに突き出す動作です。

代表的なトレーニングはデッドリフトです。
その他のトレーニングを上げてみると、RDL・グッドモーニング・バックエクステンション・シングルレッグデッドリフトなどです。

これらのトレーニングの特徴は膝関節の動きを最小限に抑え、股関節の動きを増やす事で殿筋群の働きを強めます

しかし注意すべき点があります。
それは『ハムストリングス優位の動作にしない事』です。
殿筋群とハムストリングスは股関節動作で連動して動きます。

一見お尻をターゲットにしてトレーニングしている様で、"殿筋群ではなくハムストリングスに負荷が逃げてしまっている人" は非常に多く見ます。

具体的な動作で説明すると
◆ 踵重心になり過ぎる人
◆ 膝の屈曲動作が止まる人
◆ 胸の張りが崩れる人

殿筋群やハムストリングスなどの柔軟性により差異はありますが、これらの動きが出る人は殿筋群ではなくハムストリングスに負荷が逃げている可能性があります。

⑵ スクワット系トレーニング
代表的なトレーニングはスクワットです。
その他のトレーニングは、ワイドスクワット・オーバーヘッドスクワット・ブルガリアンスクワット・バックランジ・フロントランジなどです。

スクワット系トレーニングではヒップヒンジ系トレーニングと比較して、股関節の運動量が減り膝関節・足関節の運動量が増えます

これにより "大腿四頭筋" への負担が高まります。

ここで最も重要なポイントは『殿筋群の働きを失わない事』です。
屈曲・伸展動作の全ての局面において、殿筋群がしっかり働く "殿筋群優位" の動作を行います。

動作のポイントをいくつか上げます。
◆ 上体(背骨)をしっかりと安定させた動作
◆ 股関節を屈曲を止めない上体の前傾
◆ 足裏の重心の安定

膝を痛めやすい様なタイプの人は、このスクワット系の動作の中で必ず "大腿四頭筋優位" の動作をします。

この "殿筋群優位" のスクワットの習得は非常に重要なステップです。

Step6 プライオメトリックトレーニング

プライオメトリックトレーニングでは
最短時間で最大筋力を発揮する筋力の能力の向上
を目的としています。

つまり、今まで習得してきた動作の速度を上げます
また、素早い方向転換ストップ動作など多方向への動作の中で正しい動作を身につけます。

ここまでのトレーニングは基本的に重心移動が伴わない、ウェイトなどによる荷重下での動作でした。
Step6ではよりスポーツ動作に近い、重心移動の伴う強い外力(重力・慣性力・遠心力など)が掛かる中で行います。

プライオメトリックトレーニングとは言えど、いきなりトップスピードの中での行うのではなくこの様な重心移動を伴う簡単な動作から習得していく必要があります。

ゆっくりとした重心移動を伴う動作の中で "殿筋群優位" の動作を習得し、そこから徐々にスピードアップさせましょう。

まとめ

"殿筋群優位" の身体作りはスポーツパフォーマンス向上怪我をしない身体を作る為には必須です。
しかし、スポーツ競技やウェイトトレーニングだけ行っていても身に付かず段階を踏んだトレーニングが重要です。

Step1 股関節の機能不全の改善
Step2 その他の機能不全の改善
Step3 アクティベーションドリル
Step4 スタビリティを鍛える
Step5 ストレングストレーニング
Step6 プライオメトリックトレーニング

これらの6つのステップで組み立てていく方法をご紹介しました。

この身体の使い方を習得できたとしたら、"外への力の出力" や "身体への負担" は圧倒的に向上するはずです。

より良い身体作りを行って、是非結果に繋げていただきたいと思います。

【今日のつぶやき】
僕の青春時代を過ごした地、横手山山頂付近で自衛隊のヘリコプターが墜落する事故が起こりました。その犠牲者の一人は僕と同じ大会に出場するスキーヤーでした。この様な形で夢を絶たれる事は、同じ競技者で同じ様な志を持っていたプレーヤーとしても無念でなりません。心よりご冥福をお祈りいたします。

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