先日、英女子サッカープレミア・リーグのチェルシーが、各選手の生理周期に合わせたトレーニングを行っていることを明らかにしました。
これによりパフォーマンスを上げ、負傷のリスクを下げることができる事ができると言います。
特に前十字靭帯のような軟部組織の怪我は、ホルモンの変化や生理と関係していることが、これまでの研究で示唆されています。
チェルシーは、選手の生理周期を把握し、そのフェーズに合わせてトレーニング内容を変えるという先進的なシステムを導入しているそうです。
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4つのフェーズと怪我のリスク
チェルシーによると、
生理周期には4つのフェーズ(月経期、排卵前期、排卵開始から月経前症状が出る間の時期、月経前期)があり、どのフェーズにいるかによって選手の体調にはさまざまな影響が出る。フェーズ1(月経期)とフェーズ4(月経前期)のときには体の動きが鈍る可能性が高まり、フェーズ1とフェーズ2にはけがのリスクが高まる。そしてフェーズ3とフェーズ4のときにはジャンクフードが食べたくなるため、体重が変わる可能性もあるという。
つまり、生理前と生理中にはパフォーマンスが低下し、生理中と生理直後は怪我のリスクが高まる傾向があるそうです。
パフォーマンス低下に繋がる主な原因は、体重の変動とエネルギーレベルの変動、ホルモンバランスの変化が考えられています。
月経周期による体の変化
女性アスリートに多い怪我の1つに、非接触型の前十字靭帯、内側側副靱帯などの軟部組織の損傷です。
これらはリラキシンと呼ばれる、関節や靭帯などの軟部組織を弛緩させる作用があるホルモンが関与していると考えられています。
女性は子供を出産する為、リラキシンを分泌させ体の関節を緩めます。
このリラキシンは、月経前、妊娠3か月から出産後数日に分泌が高まると言われています。
月経前や妊娠中に腰痛が起こりやすくなるのも、このリラキシンの作用により骨盤の仙腸関節が緩む事などが原因として考えられています。
月経前にはプロゲステロンと呼ばれるホルモンの働きにより、体内の水分量が増え体重が増加する傾向にあります。
またハードなトレーニングをし、生理が来なくなってしまう事(生理不順)で、ホルモンバランスが崩れ骨密度が低下し疲労骨折を招きやすくなる事もあります。
そして更に体の不調以外にも、精神的な不調であるPMS・PMDDなどが人によって現れる事もあります。
この様に女性アスリートは非常に多くの問題を抱え、女性アスリート自身やその指導に当たるトレーナーは、これからの時代、女性の月経周期に合わせたトレーニングを考えていく必要が必須になるはずです。
男性からすると、女性の体の苦しみは直接はわかり得ませんが、これらの問題に寄り添って接する事を常に念頭に置いて、女性のトレーニング指導に関わりたいと思います。
アスリートのみならず、HPVワクチン問題やピルへの理解、無痛分娩問題などなど、女性は本当に大変だなとつくづく感じます。
男性の僕としてできる事として、女性には優しく接していきたいと改めて思います。