"股関節" や "肩関節" の動きが悪いというイメージは湧くと思います。しかし "胸椎" の動きが悪いと聞いても、正直ピンとこない人が多いのではないでしょうか?
私も学生時代にこの話を初めて聞いた時に、自分の無知さと考えてみると当たり前の話に顎がガッコーンとなった事を覚えています。
特に、腕を動かすスポーツや "アスレティックポジション" と呼ばれる様な前傾姿勢をとるスポーツでは、この "胸椎の可動性" は非常に重要になります。
実は胸椎の可動域が狭さは
"腰椎骨盤帯の安定性の欠如"
"股関節や肩関節の可動域制限"
の原因にもなっているのです。
今回は『胸椎の可動性の重要性とその改善方法』についてお話しします。
目次
胸椎の持つ役割
"Joint by joint theory" を理解されている方はご存知だと思いますが、胸椎はモビリティ関節(可動性関節)です。
#4 パフォーマンス向上の為に絶対に必要な基礎知識 ~Joint by joint theory~
背骨は、椎骨と呼ばれる骨が連結し、上から頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙骨・尾骨に分かれています。
胸椎は最も多い12個からなる為、可動性が高い部位です。
特に重要な動きは "進展(後ろに反らす)" と "回旋(水平に捻る)" 可動域です。
現代の座位中心の日常生活で、徐々に背中がまるまる姿勢が定着する事により、これらの可動性は失われて行くのです。
胸椎と腰椎(胸腰部)は基本的に連動し、本来は次の標準的な可動域を持っています。
胸腰部伸展可動域 30°(胸椎20° 腰椎10°)
胸腰部回旋可動域 40°(胸椎30° 腰椎10°)
しかし、胸椎の可動性が失われる事により、腰椎が過剰に動き "腰椎骨盤帯の安定性の欠如" や "股関節の可動域制限" の引き金となるのです。
可動性の改善方法
身体の可動域制限は、一部の筋肉の過剰な収縮(過活動)と過剰な弛緩(機能不全)によって行き起こります。
筋肉の過活動と機能不全についての詳しい話は以前の記事を参照ください。
#49 痛みを治す為に、まず痛みの原因を学ぶ ~相反抑制と協働筋支配~
胸椎の伸展・回旋可動域制限に関する筋肉の過活動と機能不全は、次の筋肉の問題が考えられます。
大胸筋 ▷ 菱形筋
小胸筋・大円筋・僧帽筋上部 ▷ 僧帽筋下部
三角筋前部 ▷ 三角筋後部
広背筋・大円筋・肩甲下筋 ▷ 小円筋・棘下筋・三角筋後部
胸鎖乳突筋・斜角筋 ▷ 頚長筋・頭長筋
まずは『過活動を起こしている筋肉へのアプローチ』が重要です。
ストレッチや筋膜リリースによって弛緩させます。
胸椎伸展の可動域向上トレーニングはウォールシットリーチやオーバーヘッドスクワットがおすすめです。
胸椎回旋の可動域向上トレーニングは胸椎回旋アームスイープやクアドルプト胸椎回旋がおすすめです。
まとめ
胸椎の可動域制限は、"動作不全" や "痛み・怪我の根源" となっている可能性があります。
特に多くスポーツ動作では上体の前傾を伴う "アスレティックポジション" をとる必要があります。
しかし胸椎の伸展可動域制限があると、効率の良いポジションを取る事ができません。
胸椎の可動性を見直す事で、より高いレベルで動作を行うことができる様になるはずです。
【今日のつぶやき】
先日火星が地球に大接近したという事で天体観測を始めてみました。天体望遠鏡を使って観測を行なったのですが、天体観測舐めてました…まるきり星を捉える事ができません。よくよく考えてみたら1億km以上離れているし、動いている星を一点に捉えるなんて至難の技ですよね。
まずは月から修行したいと思います。