『良い指導者に出会う事』
一昔前まで、スポーツ競技で成功する為の条件として考えられていました。
しかし、情報に溢れた現代ではどうでしょうか?
科学の進歩のスピードは非常に早く、身体科学を含めた科学の知識は、約9か月で2倍に増えると言われています。
ある指導者が5年間全く新しい情報を仕入れなかったとすると、5年後には15%の知識しか通用しなくなり、残りの85%は『何それ?古っ』と言う状態になります。
実際に未だに
『乳酸が疲労物質』
『筋トレすると硬くなる』
『超回復うんぬん…』
なんて事を言う指導者や競技者に出会ったりします。
大概、反論する気にもなれず、こっそり情報リテラシーの低さを気の毒に思いつつ聞き流します。
現代はIT技術の進歩により、今までは中々手に入らなかった情報が簡単に手に入る時代に変わりました。
今回は 『情報リテラシーの高さで差がつく!スポーツ業界のIT革命』についてお話しします。
目次
IT革命とパラダイムシフト
かつて天動説から地動説に変化した様に、技術革新によって常に "パラダイムシフト" が起こります。
現代では、スマホの普及などにより歴史的に見ても、過去にないスピードで世の中のあらゆる物事が変化しています。
『数年前の常識が、数年後には全く通用しなくなる』なんて事ですら当たり前の様に起こっています。
もちろんこのIT革命の影響は、スポーツ界にも例外でなく波及しています。
"選手のデータ" や "チームの戦術" の分析などの情報戦が勝敗を左右し、球技ではインアウトを判定する "ホークアイ" が審判に変わって判定を下します。
この様にITによる "見える化" が進み、世界のトップレベルの組織では情報を集め分析するチームが必ず存在しています。
日本では数十年前まで『運動中水を飲むな!飲んだらバテるぞ!』みたいな根も葉もない事が常識の如く広まっていました。
しかし、現代では摂取すべき栄養素、量やタイミングまで事細かに分析され積極的な水分補給が推奨されています。
この様なパラダイムシフトが起こる時には必ず "移行期" が存在します。
恐らく数十年前の日本でもいち早く水分補給を取り入れ、『あいつらまだ水飲んでないの?』みたいなチームや選手は存在していたと思います。
当時より技術革新のスピードが上がった現代では、この様な変化が次々と起こっています。
ここで重要な事は『いち早くかつての常識を捨て、新しい常識を導入できるかどうか』だと思います。
いつまでも古い常識に寄りすがっていては、時代の波に乗り遅れます。
サッカーW杯で、前大会の優勝国が1次リーグで敗退していくのも何か繋がる気がします。
いつの時代でも、良い指導者や選手は "頭の中を常にパラダイムシフトできる柔軟性" を兼ね備えているのではないかと思います。
情報リテラシーの高さを武器にする
インターネットが普及していなかった時代。
最新の情報を得る為に海を渡り海外のトップチームに潜り込み、そこで得た知識を日本に持ち帰って広める。みたいな方法で徐々に最新の科学や練習方法を導入していました。
時代は流れ、スマホが普及した現在。
手元のデバイス1つでいつでも、どこでも、誰でもすぐに最新の情報を入手できる様になりました。
本来であればスポーツ業界もこのIT化によって、より速いスピードであらゆる物がアップデートされていくはずです。
しかし、身体作りや栄養に関する知識、ピーキングの作り方、予防医療など様々な面で今効果がある!とわかっている方法とはかけ離れた事をしている人がほとんどです。
スポーツをやっている人は経験あると思いますが『この技術・情報を5年前に知っていたらな~』なんて思った事ってありますよね?僕もあります。
一昔前でしたら、5年を要しないとその情報にたどり着く事ができませんでした。
しかし現代では、Googleでのネット検索、科学者やトレーナー、トップ選手達がFacebookやTwitter、YouTubeなどで自ら発信する情報、更にはそこに質問を飛ばしたり、海外の最先端の情報にアクセスする事も可能になりました。
つまり、その気になればすぐに最先端の情報を手に入れる事が可能なのです。
実際には、これらの情報を手に入れられる人とそうでない人の差が大きく開いている様に感じます。
誰しもがスマホを持ち同じ条件で情報を入手できる環境にいながら、なぜこの様な差が開くのでしょうか?
答えは "情報リテラシー" の差です。
『常に新しい情報をインプットして取捨選択し活用する能力』が非常に重要です。
時には『今頭の中にある常識を捨て、180度方向転換させて考えられる様な適応力』も必要になるのです。
"情報リテラシーが高い人" は、必ずしも良い環境や指導者の下にいなくても最新の情報を入手する事ができます。
"情報リテラシーの低い人" は、時代の流れにおいていかれます。一昔前と同じ様に最新の情報に触れるには自力でその様な環境に飛び込むしか方法がありません。
技術や情報が普及するとやがて "平準化" が起こります。
横一線の状態から一歩先に抜け出す為には、"まだ他の誰かが取り組んでいない何か" に可能性が秘められているのだと思います。
まとめ
IT革命が起こり、目まぐるしく変化する技術や情報はスポーツ業界にも例外なく影響を与えています。
これにより、今までトップの指導者や選手しか触れることのできなかった情報に誰しもが触れられようになりました。
『今まで当たり前に取り組んでいた情報が嘘の情報になる』なんて事も普通に起こります。
情報リテラシーが低い人はその変化についていく事はできず、いつまでも古い情報に縛られ、若い世代からの支持を失います。
ただスポーツの練習に取り組む愚直な努力だけではなく、『情報リテラシーを高め、新しい取り組みをしていく事』で "今までチャンスがなかった層" にも成功のチャンスが生まれる時代になって来たのだと思います。
【今日のつぶやき】
今日はイギリスの作家ダグラス・アダムスの言葉をご紹介します。
『人間は、自分が生まれた時にすでに存在していたテクノロジーを自然な世界の一部と感じる。15歳から35歳の間に発明されたテクノロジーは、新しくエキサイティングなものとして感じられ、35歳以降になって発明されたテクノロジーは、自然に反するものと感じられる。』
一度頭の中に出来上がったテクノロジーがあると、新しいテクノロジーをバイアスなしで見る事は難しくなるという事なのだと思います。
シニアの世代が、スマホばかりいじっている今の若い世代を見て苦言を呈するのもわかりますね。