長い事トレーナーをやっていると、人の動作や姿勢見て
『この人〇〇筋が固そうだな~』とか
『あの動きじゃあそこ痛めちゃうぞ~』とか
パッと見で大体わかる様になります。
実際いちいち口に出していたらチョーお節介なので、トレーニング指導中以外は、頭の中で妄想を膨らませています…
目次
対症療法はイタチごっこ
まだまだスポーツをしてる人でも、関節機能など "基本的な動作の質の重要性" に、気づいていない人も多い気がします。
不思議なもので、怪我なくピンピン動けている内は、自分の動きの質に興味がない人がほとんどです。
ところが、身体を痛めてから問題点や改善法の話しをすると、手の平を返したかの様に、真剣に話を聞いてくれます。
内心は『だからあの時にやっとけば~』なんて思ったりしますが、覆水盆に返らずなので早期回復・再発防止に向けて、取り組むんでもらうしかありません。
必要とされる事はとても有り難い事なのですが、ある程度のレベルで運動する以上はもう少し自分の身体にも興味を持って取り組んでもらいたいものです。
そもそも身体は "動く" か、怪我して "動かない" の2択で考えられるほど単純ではありません。
身体に一切の異常が感じられなくても、健康診断で "異常な数値" が出て検査入院なんて事があると思います。
同様に、怪我するまで、身体に症状が出ているのにも関わらず "それに全く気がつかない" なんて事がザラにあるのです。
それは実際には見逃しているだけで、怪我する以前から痛みや張り、違和感などの形で、身体は "危険のシグナル" を発しています。
病気に比べたら、余程わかりやすいサインだと思います。
正確に言うと "見逃す" ではなくて、自ら "無視" している場合がほとんどです。
身体の痛みや違和感に、誰でも気づくと思います。
(身体作りをする事で、より筋肉の張りや反応の低下にも敏感になります。)
しかし
『いつも疲れると痛むんだよね~』
『大した事ないから大丈夫!』
『古傷が…』
みたいな感じで自ら目をつぶり "身体からのサイン" を、みすみす見逃していたりします。
そう言う人に限って、サポーターやロキソニンテープ、氷のう等を常備し "対症療法" の為の完璧な準備を施しています。そして "根本原因" の解決には決して取り組もうとしないのです。
何故か怪我を "伴侶" の如く受け入れています。
もちろん対症療法を否定している訳ではありませんが、そこに力を注いでも再び怪我をし "イタチごっこ" を繰り広げるだけなのです。
日本の医療とスポーツ
日本の医療が、病気になってから治す事が当たり前で "予防医療" に力を注いでいない事は有名です。
例えば "子宮頸癌" を一次予防できるHPVワクチンと言う予防注射があります。
世界的に見ると、一般的な予防注射ですが、日本では国が推奨していない事もありほとんど摂取されていません。
先進国では非常にめずらしいケースだそうです。
HPVワクチンの摂取で罹患率を下げられるにも関わらず、病気になってから治す事が根付いている日本では、中々摂取率が上がりません。
実は "スポーツ医療" の世界でも、これと全く同じ事が言えます。
基本的に日本では "怪我してから治す" というのが当たり前で、大抵の場合は病院に行くと痛み止めを処方されます。
しかし、他の先進国ではよっぽどの事でないと痛み止めを処方しません。
何故なら、痛み止めを飲んでも "薬が切れたらまた痛くなるだけ" と言う事をわかっているからです。
海外では先ず "痛みの原因" を突き止める事が当たり前で、痛みを取り除く方法を教わったら後は "受動的な治療" でなく選手自身が治療します。
そして、この様な習慣が根付いてる海外選手は怪我をする前から "怪我をしない身体作り" に励んでいます。
何故なら『怪我をしない身体 = パフォーマンスの向上』という事を、しっかりと理解しているからです。
海外のスポーツジムに行くと、驚く事があります。
それは、ウェイトトレーニングを行うエリアと同じくらいファンクショナルトレーニングを行うエリアが充実しているのです。
日本では、先ず見た事がありません。
これも身体作りに対する意識の差なのかもしれません。
海外選手のトレーニングを写す映像などを見ると、重いウェイトを扱うシーンばかりピックアップされがちですが、そこだけ真似をしても "本当の意味での強い身体" を作る事は出来ないのです。
身体の可能性を引き出す
この様に、日本と世界とではまだまだ "トレーニングに取り組む意識の差" が大きい様に思えます。いや、それどころか大きく遅れを取っています。
スポーツ業界でも『予防医療』の考えが、世界的にみると広まっています。
海外のトップチームだと、怪我の確率が上がる運動量や試合間隔、どんな身体だと受傷率が上がるか、などのビッグデータがあり分析されています。
どうしても大きな怪我をする事で、そのスポーツを断念せざる終えない状況に追い込まれたりする事があります。
才能が開花する前に、芽を摘まれてしまう事もあると思います。
そうなる前の "予防" が非常に重要なのです。
怪我をする前に、予防の重要性を理解するのは難しいかもしれません。しかし、怪我を予防する身体作りをする事は、パフォーマンス向上に必ず繋がります。
もっと身体作り対する考えを変え、取り組むべきなのです。
そこには必ず今まだ持ち得ていない "可能性" が、眠ってるはずです。
今日のつぶやき
これは今年3月に亡くなったスティーヴン・ホーキング博士の言葉ですが『命ある限り、希望があります。』
人間いつ死ぬかなんて誰もわかりません。1日1日を自分のやりたい事に没頭しながら生きていきたいですね。
ご冥福をお祈りします。