
2018年4月
冬のスキーシーズンも終わりトレーニング頻度を通常 (毎日) に戻し、イキっていた時に事件は起きた。
「ブチーーッッ!!!!」
左の上腕から破裂音が身体に響いた。
一瞬気のせいかと思ったが、同時に左腕に焼ける様な痛みが走った。
「うわ、やったわ、、」
と思ったものの、まさかここまで苦しむとは、当初は予想だにもしていなかった。
そして僕はその日を境に、陽の目を浴びる事のできない長いトンネルに入る事になった。
(僕の話で大変恐縮ですが、慢性痛など同じ様な悩みを抱えた方にもし参考になる事があれば幸いです)
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怪我の発症と心の衰弱
そもそもトレーニング中に怪我をす事は、トレーナーとして "超" がつくほど大失格です。
しかし、起きてしまった事。
受傷から数週間は、何もせずとも腕が痛み、物を持つ事すらままならなかった。
原因を冷静に分析し、受傷までの道筋の仮説を立てる事は、一見容易であった。
「ちょっと休めば回復するであろう」
と僕はタカを括っていた。
もちろん元気であった下半身のトレーニングに勤しんだ。
いや、勤しみ過ぎた。
高台にジャンプした瞬間、ハムストリングスを炒めた。ジューー
僕はいとも簡単に、同じ轍を踏んだのであった。
そして、有酸素運動とコンディショニングトレーニングの日々を余儀無くされた。
怪我をする度に、2つ思う事がある。
ひとつは「健康であることの有り難み」
もうひとつは「実はトレーニングが好きである事」
日課の様に行っていたトレーニングが規制された身体にストレスを感じない筈がなかった。
僕にとっては、美味しいものが食べたくても、干し草しか食べれない1年を過ごしている様な物だ。
「我慢の時だ、大した壁じゃない」
そう言い聞かせる他なかった。
そして、数ヶ月後80%程回復し、トレーニングを再開した。
徐々に強度を上げていく事ができたが、一瞬の気の緩みに足をすくわれた。
再発。
身体の声を聞き取れなかった、自分自身への甘さに怒りが込み上げてきた。
メンタルとフィジカルの関係
実は、科学的にも身体を鍛える事でテストステロンの分泌が増え、向上心や出世意欲が増し、またレジレンス(マイナスの境遇への抵抗力)も高まる事がわかっている。
運動をする事は、身体のみならず "心を整える最大の方法" なのである。
今まで、プラスの階段を上りまくっていた僕の足元が静かに降下を始めた。
「メンタルはフィジカル」
とよく言われる。
フィジカルに問題がある人が、不安を抱えたままプレーしたり生活すると言うのは、想像に容易い。
恐らくフィジカルの強さを失った僕のメンタルは、徐々に荒れ始めていた。
生まれてからほぼ風邪を引いた事がなかった僕は、2019年の年明けに初めて長期的に体調を崩した。
何をやっても思う様に行かない…身体の調子も上がらない。
トンネルの先に一筋の光が見えてはまた消える、そんな袋小路に迷い込んでいた。
年齢のせいなのか?
イチローの引退がそんな気持ちに拍車を掛けた。
慢性的な怪我からの脱却
怪我や痛みが慢性化している人は思う。
「一生この痛みと付き合っていくのかな」
と
トレーナーとしての僕の仕事のひとつは、そんな痛みを解消する事だ。
「怪我は怪我をした部位以外に原因がある」
普段僕が口癖の様に言っている言葉である。
中々自分の身体を客観視する事は難しいが、僕は冷静になって自分の体を分析し、自分の引き出しにあったセオリーに当てはめてリハビリを行った。
しかし、80%までは回復しても完治に至らない。
お客様の身体でも時々特殊な例があって、試行錯誤が必要な時がある。
そう、正に自分の身体でそれが起きていた。
身体のケア、リハビリ、栄養、休息。
その時々に試せる事は全て試した。
しかし、完治しない。
「心の乱れは姿勢の乱れに繋がる」と言うが、恐らく荒れに荒れていた(これも自分では気づきにくい)。
姿勢というのは、立ち姿だけでなく、物事の捉え方や生き方、全てだ。
そして、受傷から1年が経とうとしていた3月、その乱れに気付いた。
僕は心を整える作業に時間を費やした。
スピリチュアルな話をするつもりはないが、運気という物はやはりある気がした。
ここ1か月少々の短い期間で、不思議と劇的な変化が自分とその身の回りの環境に起きた。
そして、受傷からちょうど1年が経とうとした昨日。
相変わらず左腕に疼痛を感じていた僕は、たまたま一筋の筋繊維へのアプローチに成功した。
その時。
今まで閉ざされていた血管のバルブが解放されたかの様に血が流れる感覚と同時に、痛みが消えたのを感じた。
メンタルへのアプローチ
メンタルはフィジカルによって鍛え上げられる。
この要素は間違いない。
しかし、逆に言えば
フィジカルもまたメンタルによって鍛え上げる事ができる。
もし今怪我をしている方や、慢性的な痛みを抱えている方がいたら「その痛みと付き合って行こう」なんて考えは捨てて欲しい。
もしフィジカルへのアプローチをし尽くしたとしても、必ず方法はある。
その方法のひとつとして "メンタルへのアプローチ" にヒントがある。
騙されたと思って取り組んで欲しい。
意識が変わり、取り組みが変わる。
それが長いトンネルをくぐり抜ける為の糸口になり得る。
昨日の今日なので、まだ完治とは言い切れない僕の身体ですが、99%のプラスの感触を得られています。
心も身体もこれから更に追求したら、大変な事になりそうです。
何か有益な情報を流せればと思っていますが、試行錯誤してみます。
よいGWをお過ごしください。