
▷ 解剖学の知識を深めたい方
「アイソメトリックス」
「アイソトニックス」
「アイソキネティックス」
これらは、トレーナーを目指す人が最初に勉強する、機能解剖学の教科書にも必ず出てくる、3つの筋の収縮運動の基礎知識です。
最近スポーツ動作の中でも、この「筋の収縮運動の使い分け」についての理解が、選手にも問われていたので、まとめてみます。
目次
3つの筋の収縮運動
筋の収縮運動には、3つの種類があります。
その3つの筋収縮の特徴をご紹介いたします。
アイソメトリックス(等尺性筋収縮)
その和名の通り、筋肉の長さが変わらない運動です。
外力に対して、筋肉の長さと関節の角度を一定に保ち維持している状態です。
例えば、
重力に対して立っている状態、壁を手の平で押すなど、一定の力に対して、一定の力で耐え、エネルギーが拮抗している状態がアイソメトリックスです。
また、インナーマッスルは体の姿勢や動きを維持する為に、常にアイソメトリックスに働いています。
アイソトニックス(等張性筋収縮)
筋肉が長さを変えながら、外力に対して抵抗する運動です。
関節の曲げ伸ばしが伴う、ほとんどの運動動作がこれにあたります。
またアイソトニックスは以下の2つのフェーズに分けられます。
コンセントリック(求心性筋収縮)
筋肉が縮みながら、外力に抵抗するフェーズです。
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例えば、立位で肘を曲げると上腕二頭筋(力こぶ)がコンセントリック収縮を起こします。
エキセントリック(遠心性筋収縮)
筋肉が伸ばされながら、外力に抵抗するフェーズです。
例えば、立位で肘を伸ばすと上腕二頭筋がエキセントリック収縮を起こします。
この様に、アイソトニックスには2つのフェーズがあります。
また関節の構造上、関節角度によって強度が異なります。
例えば、上記の肘の曲げ伸ばしでは、肘と物体が最も離れる、肘関節90度の局面が最も強度が高くなります。
この局面をスティッキングポイントと呼びます。
アイソキネティックス(等速性筋収縮)
関節の曲げ伸ばしが伴い筋肉の長さが変化するものの、スティッキングポイントが存在せず、一定の外力が加わる運動です。
この運動は、日常的な動作では起こり得ない運動です。
例えば、水泳がこの運動に該当します。
水の中で、どの関節の角度でも、一定の負荷が掛かる状態です。
陸上では特殊な装置を用いない限り、アイソキネティックスに運動する事はありません。
ゴムバンドやチェーントレーニングなどで近い状態を作ることは可能です。
スポーツ動作と筋収縮
スポーツ動作で主に使う筋収縮は、アイソメトリックスとアイソトニックスです。
例えば、
トランポリンで高く跳ぶ為の脚の動作では、最初は反動をつける為に「アイソトニックス」が使われます。
スプリングが十分にしなってきたら、高く跳ぶ為には、脚の関節を曲げずに「アイソメトリックス」に運動することでトランポリンのエネルギーを活用する事ができます。
また、すべての運動動作では「体幹部を固定して手足を動かす」様に、アイソメトリックスに使う部位とアイソトニックスに使う部位が必ず存在します。
近年、スポーツ動作も物理的な効率が求められる傾向がある為、これらの筋の収縮運動の基本知識はトレーナーのみならず、スポーツ選手は抑えておいた方が良いかもしれません。