え??
「スポーツ動作は反復練習して、その動作を目を瞑っていてもできる様に、体に刷り込ませる。これ当たり前でしょ」
と思いますよね、僕も以前はそう思っていました。
しかし、あの "人類最強の男" 室伏広治さんはこう言います。
「反復練習はするな!」と。
そう、実はスポーツ動作の練習を効率的に行う為には "純粋な反復練習" は、その妨げになると言うのです。
目次
反復練習は意味ない?
実は、3年ほど前の記事で、室伏広治さんについて少し取り上げた事があります。
室伏広治さんは、ハンマー投げ選手を引退後、東海大学で体作りの研究を行っています。
日本人初の100M走で9秒台を記録した、桐生祥秀選手などの指導にあたっています。
室伏さんは、体作りに関してこの様に述べています。
筋肉そのものや関節の可動域などは、25歳頃をピークに衰えていく、それは当然で避けられないこと。しかし。関節も筋肉も動かす指令を出しているのは脳で、脳からの指令の出し方は30歳を過ぎても成長の余地がある。
この様な理論の元、現役時代に自身も体作りを行い、30歳時のアテネ五輪で金メダル、38歳時のロンドン五輪で銅メダルを獲得しています。
そして、特に年齢を重ねてからは "反復練習" が落とし穴になると語っています。
その真意は..
やり始めは100パーセント正しい動きができていたとしても、繰り返し繰り返し同じことをしているうちに、ほんの少しずつズレてくる。するとそのズレた動きを脳が覚えてしまうし、しかも筋肉は無駄に疲労し、関節は摩耗する。
なるほど…
確かにスポーツ動作で良い動きができたとしても、同じ動きをやろうとすると「あぁ~さっきの方良かったな!」なんて事を、誰でも体験した事があると思います。
なんなら同じ動きをやろうとして、精密機械の様に全く同じ動きができる人はほとんどいないのではないでしょうか?
なぜなら、どの様なスポーツにおいても様々な変数が絡み合って、その一回の動作の良し悪しが決まるからです。
例えば、僕が携わるのスキー競技では
□ 気候
□ 道具の状態
□ 体の疲労
□ 精神状態
などなど、滑る度に刻々と条件が変わります。
むしろ「全く同じ条件は2度とない」と言っても過言ではありません。
野球やサッカーなど、対人スポーツになると、その変数はもっと複雑になると思います。
つまり「どんなに条件が変わっても、同じ動きをしよう!」考え方は、不可能に近く、ナンセンスなのです。
練習効果を上げる「リコンソリテーション」
とは言え、トップ選手はどんな状況にも左右されず、高いパフォーマンスを出し続けていますよね?
これは僕の考えですが、室伏さんの言葉から読み取ると、恐らくトップ選手は、変化する状況に応じて様々な技術を組み合わせた結果、常に同じ動きをしている様に見えているのだと思います。
では、どの様な練習をするのが効率的なのか?
それは「少しづつ工夫を加える事」です。
あくまでも習得したい技術の中での練習なので、頭に描くゴール地点は同じでも、その経過に工夫を加えるのです。
例えば、スクワット10回を3セット行う場合にも、常に股関節だけに意識を持っていくのではなく「次はお尻の筋肉の働きを意識してみよう」「次は足裏の緊張をなくしてみよう」の様な形で、違う所に意識を持っていくのです。
同じ場所に行く時に、今日は違う道を通ってみよう、今日は違う乗り物で行ってみよう、今日はカフェに寄ってからゆっくり行ってみよう、この様な具合に変化をつけるのです。
実はこの微妙に変化をつけて繰り返す事を、脳科学用語で「リコンソリテーション」と呼びます。
全く同じ事を繰り返そうとすると、人の脳は "省エネモード" になり集中力が欠如します。
しかし、微妙な変化を加え、脳にわずかなストレスを与える事で、集中力を必要とし高いパフォーマンスに繋がるのです。
結果的に、その動作が脳や体に定着しやすくなるのです。
実際に、アメリカのジョン・ホプキンス大で「全く同じ練習を繰り返すグループ」と「微妙に工夫を加えて繰り返したグループ」で実験を行ったところ、後者の方が習得のスピードと正確性が "最大で2倍" も高かったと言う結果が出ています。
2倍は驚きです。
「愚直に繰り返す事」この "努力" が大切なのは間違いありませんが、そこには少しづつ変化をつける "工夫" が非常に大切になるのです。
飽き性の僕ですが、壮大にサボったりしながらも、なんとか続けてこれています笑
これもひとえに、読者の方々のお陰です。本当に、いつもありがとうございます!
やはり、アナリティクスの数字が上向くと嬉しいものです。
これからも、少しづつ工夫を加え、より良い情報を配信し続けられる様に努力していきます。
また引き続き、よろしくお願いいたします。