今回は前回の
『Joint by joint theory』
に引き続き、
『モビリティファースト』
についてお話ししたいと思います。
まず
『Joint by joint theory』
について復習すると
『身体の各関節 (部位) にはそれぞれ役割があり、その各関節が適切に機能することによってパフォーマンスの向上に繋がる。』
という理論でした。
詳しくは前回の記事をご覧ください。
目次
モビリティファースト
今回の『モビリティファースト』を簡単に説明すると
『まずはスタビリティよりもモビリティを上げることが重要』 と言う理論です。
具体例をあげると
トレーニングを重ねて腰椎/仙腸関節 (よくコアと呼ばれる部分) の強靭なスタビリティ (安定性) を備えていますが、股関節の伸展可動域 (脚を伸ばす可動域) が不十分な人がいるとします。
この人がスポーツの何らかの動作で、股関節を思いっきり伸ばしたとき…
例えば
『走るときに思いっきり地面を蹴る脚』
『ゴルフスイングで振り切った時の後ろ脚』
『ジャンプで思いっきり踏み切ったあとの脚』
『スキーで伸ばされる外脚』
この時、股関節の伸展可動域が不十分なので、股関節の限界可動域を越えると "代償動作" として "腰椎の過伸展" が起こり腹圧が抜けスタビリティが失われます。
つまり、どんなに強靭なスタビリティを備えてもモビリティ制限があると
"モビリティの限界点を超えた時、隣り合う関節のスタビリティは失われます"
更に…
そのスタビリティ関節と隣り合うモビリティ関節の機能も制限されます。
この様に、ある関節の問題が原因で
"モビリティ関節とスタビリティ関節の逆転"
が起こり、遠方の関節に、可動域制限が起こり得るのです。
具体例をあげると
『股関節の可動域制限があり、ある動作中に遠方の肩関節の可動域が制限され、肩関節に傷害が起こる。』
『胸椎の可動域制限があり、ある動作中に遠方の股関節の可動域が制限され、腰椎や膝関節に傷害が起こる。』
この様な事が考えられます。
脳はタスク思考
人間の脳は 『タスク思考 (目標達成思考)』 です。
身体の各関節の機能に問題を抱えたまま動作を行うと
『質を犠牲にして量を獲得する』 のです。
機能に問題があったとしても、質を犠牲にして脳の指令通りの動作を行うのです。
まずは現状を知る事が重要
身体の各関節の機能が低いと、エクササイズからの恩恵も受けることはできません。
例えると
エクササイズは "種"
各関節機能は "土壌"
『どんなに良い "種" でも "不毛な土壌" では育たないのです』
機能的な身体を作る事が、傷害リスクの軽減に繋がり、それがパフォーマンスの向上に直結します。
必ずトレーニングを始める前に、自分自身の身体の状態を確かめる事が非常に重要なのです。
医者も診断なしに薬を処方することはありませんよね?
トレーニングも同じです。
パフォーマンスを上げる為には、トレーニングの選択をする前に 『自分自身の身体を確かめること』 が身体作りのスタートなのです。