長距離ランナーが記録向上の為にすべきエネルギー利用術 #46

フルマラソンを走り切る為には、2000~3000kcalのエネルギーが必要と言われています。
人間が身体を動かす為の、主なエネルギー源は "糖質" と"脂質" です。

人間の体内に脂肪は大量に存在します。
一方で、糖質は成人男性で肝臓に90~150g、筋肉に100~400gグリコーゲンという形で貯蔵されています。
これはエネルギーに換算するとおおよそ1500~2000kcalです。

その為、フルマラソンでは、レース後半に糖質の枯渇による筋出力の低下が起こり得ます。
良い記録を出す為には、如何にしてこのエネルギーの貯蔵ができるか、無駄なく利用できるかが "" になるのです。

今回は 『長距離ランナーが記録を伸ばす為のエネルギー利用術』 についてお話しします。

フルマラソンと "30kmの壁"

マラソンに出場する人は "30kmの壁" という言葉を聞いた事、または、実際に経験した事があるのではないかと思います。

フルマラソンでの糖質と脂質のエネルギー利用率は1:1と言われています。
しかし、体内に貯蔵できる糖質の量は限られている為、後半に糖質の貯蔵量が減少し、ペースが落ちていきます。
これがフルマラソンで "30kmの壁" があると言われる所以です。

レース中に糖質を摂取するという選択肢も有るかと思います.
しかし、高いレベルで走る選手程、身体を動かしているレース中に摂取した糖質を吸収・利用する事は困難になります。

そこでマラソンで記録を伸ばす為には
□ 糖質の貯蔵量を増やす
□ 糖質の利用を減らす

という方法を考えていく必要があります。

カーボローディングの問題点

一般的に、体内の糖質の貯蔵量を増やす為に "カーボローディング" という方法がとられます。
カーボローディング 『一時的に体内の糖質を枯渇させ、試合前に大量に糖質を摂取する事で、体内の貯蔵量を増やす方法』 です。

しかし、実はこの方法には、メリットだけではなく次の様な "デメリット" が存在するのです。

運動強度が下がる

カーボローディングをする為には、一時的に糖質を枯渇させる必要があります。
しかし、運動強度を上げたい試合の数日前に糖質を枯渇させてしまう事で、高いレベルでパフォーマンスを発揮することが難しくなり、必然的に運動強度は下がってしまいます

試合当日にピークを持って行く為の運動強度の調整方法に "テーパリング法" というものがあります。
試合にピークを合わせ、数%パフォーマンスレベルを上げる事が期待できる注目すべき方法です。

このテーパリング法に関しては、また他の記事で詳しくお話ししたいと思います。

胃腸に負担が掛かる

カーボローディングの為に、一度に大量の糖質を摂取すると、消化吸収の為に胃腸に大きな負担が掛かります
また、下痢などの症状を起こす可能性もあります。

胃腸への負担による競技パフォーマンスの低下が、十分に考えられます。

体重が増える

糖質は体内に貯蔵される為に、水と結合します。糖質1gにつき、3gの水が必要になります。

例えば、ローディングで300gの糖質を摂取したとすると、900gの水が同時に蓄えられます。
つまり、体重が1.2kg増加する計算になります。

この体重増加により、身体のパフォーマンスの低下が考えられます。

糖質の貯蔵量を増やす

糖質のエネルギー利用を考える為の、1つ目の要素は "糖質の貯蔵量を増やす" 事です。
具体的には以下のような方法があります。

持久系トレーニング

筋グリコーゲン(筋肉内のグリコーゲン)の貯蔵量を増やす為には、持久系トレーニングを繰り返す必要があります。
グリコーゲンをトレーニングで消費して食事で摂取、というサイクルを繰り返す事により、筋グリコーゲンの量をある程度増やす事が可能です。

当日朝の糖質の摂取

試合当日の朝食で、高糖質食を摂る事が有効です。また、高脂質食を摂る事で、血中脂肪酸濃度を高めておく事も有効です。

しかし、どちらの方法も大量の食事の摂取による胃腸への負担も考えられる為、限界があると思います。

糖質の利用を減らす

もうひとつ要素は "糖質の利用を減らす" 事です。具体的には以下のような方法が有効です。

一定のペースで走る

以前の記事の中で、エネルギー利用に関するお話に触れましたが、筋肉の速筋の働きが高まるとグリコーゲンの分解がばんばん促進されます。
#37 ”乳酸” は実は筋疲労とは全く関係がなかった ~ほとんどの人が知らない新常識~

マラソンでは "ペースを上げる事" で糖質の分解は促進されます。

つまり、スパートダッシュをする事で、糖質が使われてしまい、その後のパフォーマンスが低下します。
その為、マラソンで好記録が出る時には、だいたいペースメーカーがいるのです。

ミトコンドリアを増やす

持久系トレーニングを繰り返す事で、筋肉内のミトコンドリアが増加します。
ミトコンドリアが増加する事で、脂肪代謝の能力が高まり、同じ速度でより脂肪を使い、糖の利用を抑えるられます。

身体の脂肪の利用を高める為には、糖質の減った状態でトレーニングをする事が有効です。
また高い強度で追い込む事により、速筋繊維を強化する事が重要です。これにより、速筋繊維の遅筋化をさせます

まとめ

長距離ランナーが試合で高いパフォーマンスを発揮する為に、エネルギーを考える事は必須です。

特に重要なポイントは
□ 糖質の貯蔵量を増やす事
□ 糖質の利用を減らす事

です。

糖質代謝の効率を上げる事を考えても、やはり最も重要な事は、日々高いレベルでトレーニングを行う事です。
その上で、より良い記録を出す為の戦略として、食事法やペース配分などを考えていただければと思います。

【今日のつぶやき】
サッカーW杯が開幕しました。ブラジル大会からもう4年が経つのかと思うと、月日流れるの早さを感じます。
普段サッカーどころかTVを全く見ない僕ですが、超みーはーなのでW杯となると寝る間も忘れTVに釘付けです。
それにしても先日のスペイン対ポルトガルは凄まじかった…夜中には刺激が強すぎましたね。クリスティアーノ・ロナウドのスター性を目の当たりにしました。
これから寝不足の1か月になりそうです。

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