スポーツ傷害で多い「前十字靭帯断裂」
特に、サッカーやバスケ、スキーなど "横方向への膝のねじれ" が生じるスポーツに、多い怪我です。
男性よりも女性の方が、発生率が高いと言われていますが、これは以前もお話しした、 "リラキシン" というホルモンの関与だと考えられています。
前十字靭帯の再建手術後のリハビリは、競技復帰の為には、辛くて長い道のりです。
しかし、怪我以前と同じ様に、より強い体を作れるかどうかは「リハビリに掛かっている」と言っても過言ではありません。
目次
怪我の原因の探究
以前の記事でも、詳しくお話ししたので、簡単にお話ししますが、膝の怪我の原因は、膝以外の部位にあります。
怪しいところは、足首or股関節です。
再発防止、より強い体を作る為には、この原因を確実に分析し、改善する必要があるのです。
むしろ、この改善なしでは、怪我をした意味が全くありません。
そして、リハビリには、日常生活に復帰する為の "メディカルリハビリテーション" と、スポーツに復帰する為の "アスレティックリハビリテーション" がありますが、後者が非常に重要になります。
ここには、専門知識を持った、的確な指導をしてくれるトレーナーが必要不可欠です。
怪我以前より強い体を作れるかどうかは、そのトレーナー次第と言っても過言ではありません。
あのリハビリに要注意
一度筋力が低下した脚に、筋力をつける為に、様々な筋トレを行うと思います。
しかし、お医者様が良く進めてくるトレーニングの一つに、注意すべきものがあります。
それは「レッグエクステンション」です。
前十字靭帯は、スネの骨(脛骨)が、太ももの骨(大腿骨)を、前方にズレない様に支えている靭帯です。
しかし、レッグエクステンションで、大腿四頭筋を鍛えすぎると、大腿四頭筋がスネの骨(脛骨)に繋がっている為、図の様に、スネの骨を前方にズラす力が強くなるのです。
日常生活への復帰までのリハビリで、低負荷で行う分には問題ないかもしれません。
しかし、スポーツ復帰の為に、高負荷のレッグエクステンションを行い過ぎると、上記の理由で、靭帯の定着を妨げリスクが考えられるのです。
アメリカでは、この様なリハビリでは、レッグエクステンションはやらせない事が、ほとんどだそうです。
理想のリハビリ
では何をすれば良いか?
基本的にやるべき事は「スクワット」の様な、立位での曲げ伸ばし動作です。
もちろん、できる可動域で、更には大殿筋優位の、膝に負担の少ない動作を覚えて行く必要はあります。
この様に、基本的な筋力強化と同時に、動作改善や、根本原因である、股関節や足関節の問題を解決していきましょう。
前十字靭帯断裂から、競技復帰は、心身ともに辛いモノがあります。
しかし「怪我は成長の為に必要なスパイス」です。必ずより強くなれます。
怪我以前より動ける体を目指して、丁寧に確実に体を作ってください!
一般的に怪我した部位だけを治し、パフォーマンスの低下に悩んだり、再発を起こす事がよくありますが、これは当たり前の現象であり、非常にもったいない事をしています。正しいアプローチをしっかり指導できる、治療家やトレーナーが増える事を願って止みません。かくいう僕も、もっとお役に立てる様に、日々のブラッシュアップを頑張ります。