腹圧の掛け方はドローインじゃなくてブレーシングを使うべき #75

"ドローイン" という言葉を聞いた事があっても "ブレーシング" という言葉には、馴染みがない人も多いのではないでしょうか?

 

実は "ドローイン" は「腰痛改善の為のエクササイズ」として、十数年前に注目を浴び、体幹部のインナーマッスルを鍛える手法として急速に広まりました。

 

そして、スポーツやトレーニングの現場でも "ドローイン" という言葉が度々使われる様になりました。
しかし、ドローインは腰痛改善に効果があっても、スポーツやトレーニング動作にそのまま活用しても本当に良いのか
 
今回は「ドローインとブレーシングの違い」についてお話しします。
 

 

目次

ドローインの普及と現在

ドローイン
ドローインの歴史は、オーストラリア人の研究者によって「腰痛患者は腹横筋(腹部のインナーマッスル)が上手く使えていない」という事が発見され、"腰痛改善エクササイズ" として活用させた事が始まりです。
 

ドローインとは 『腹部を強く凹ます事によって、深部にある腹横筋の働きを強める』 という手法です。

 

腹部のインナーマッスルの中で "腹横筋" だけをピックアップし、他の筋肉を働きを軽視したこの手法は、冷静になって考えると一方向だけの力を強めても腹圧は高まらず、腰椎や骨盤を安定させられないと言うことに気づくかもしれません。
しかし、何故か疑われる余地もなく「運動の中でも体幹部を安定させる手法」として活用され、拡散されていきました。

 
 
実は、これに気づいた "ドローインを使った指導をしていたトレーナー" も、誤りを認め、現在は "ブレーシング" を推奨している人は少なくありません。

 

 

体作りの情報も、最新の情報と世の中に普及している情報には、数年から十数年単位の "タイムラグ" が存在します。
 
未だに『運動中に水を飲むな!』とか『体を柔らかくしたきゃ酢を飲め!』とか言う人がいたら、激しくつっこまれるかと思いますが、情報は時代によって常にアップデートされ、今信じているものが2~3年後に覆っている事も少なくありません。

 

青木
身体科学は医学と同じ様に、まだまだわかっていない事実が多くあって常に最新の研究によって今まで常識が刷新される。これが情報リテラシーの低い人に届くのが10年以上先になる事もしばしば。常に新しい情報を入手して、古い常識に固執しない潔さって大切ですよね。

 

 

ブレーシングを使うべき理由

腹圧をイメージする為のゴムボール

ドローインに対する "ブレーシング" は『アウターの筋肉も含め外からの圧力に抵抗する様にお腹に力を入れ、腹部全体ををボールの様に膨らませる』 という手法で、お腹を膨らませ正に "腹圧" を高める方法です。

 

腹部のインナーマッスルには

■ 腹横筋
■ 内腹斜筋
■ 多裂筋
■ 骨盤底筋群
■ 横隔膜

があります。
 
これらの筋肉が、腹部の深層部を四方八方から包み込む様に覆い、同時に緊張させる事で腹圧が高まります。

 

例えるなら "ゴムボールを前後左右上下の方向から押さえつけた状態" です。ボールの中の圧力が高まる事が想像つくかと思います。

 

 

しかし、骨盤が約12度の前傾を理想とするのに対して、ドローインで前方からの圧力を高めると骨盤が後傾し、角度が小さくなります。

 

普段トレーニングで高重量を扱っている人なら「スクワットやデッドリフトで "ドローイン" でお腹を凹ませたら、力が入らない事」は体感的にもわかると思います。

 

腹横筋を鍛える為に、ドローインが有効である事は確かです。
しかし「実践の動作の中でドローインを使う事は、ある意味 "自爆行為" であり、何一つメリットがない」と個人的には思っています。

 

青木
もしかしたらスポーツをやっていて慢性的な腰痛に悩まされている人は "ドローイン信者" かも?僕の勝手な見解だけど試してみる価値はあると思う。

 

 

まとめ

ファイアリングシークエンスとは
体幹部を安定させる手法として「ドローインが絶対有効」いう誤った認識が蔓延しています。
しかし "ブレーシング" を使う事でしか、適切に腹圧を高め腰椎や骨盤を安定させる事は困難です。

 

 

もし今までドローインを使っていたとしたら、今からブレーシングに切り替える事を強くお勧めします。

 

指導者の立場であれば 『やっぱドローインよりブレーシングが良いみたい!てへぺろ』で今日から方向転換してみてください。きっとお客様も最新(?)の謎の横文字を連呼するあなたに惚れ直すハズですよ。

 

今日のつぶやき
基本的に朝はスーパースロースターターな僕ですが、最近お洒落ぶって起床して小一時間のコーヒータイムを作ってみました。やっぱり朝は作業効率が高い。それにしても、コンビニで気づくとコーヒー、日中カフェでコーヒー。急性カフェイン中毒があるらしいので気をつけます。因みに軽度の症状は、頻尿…だそうです。

 

 

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