健康促進の為にスポーツをする人は多いと思いますが、体に良いとして推奨される運動には必ず "適度な" と言う形容詞が付いています。
つまり、運動はやり過ぎると一転 "害" になり得るのです。
スポーツは大きく分けると、
勝敗や記録を目的とする「チャンピオンスポーツ」
楽しむ事を目的とする「レクリエーションスポーツ」
の2種類があります。
多くの子供や大人が、初めてあるスポーツに触れる時、ほとんどの場合「レクリエーションスポーツ」としてそのスポーツに触れると思います。
しかし、周りの環境、または自分の意思により、人やチーム、記録と争う様になり、いつの間にか「チャンピオンスポーツ」として打ち込み始めている事が多々あると思います。
チャンピオンスポーツとなると、運動強度も自ずと高くなる為 "怪我のリスク" が上がります。
この様なチャンピオンスポーツを、生業にするプロスポーツ選手のほとんどは、大なり小なり怪我や痛みを抱えています。
メディアに取り上げられるのは、有名選手の大怪我だけで、ほんの一部です。
試合に出る出ないが、成績や年棒に大きく関わるプロスポーツ選手は、メディアどころかチームにも "怪我を隠す人" がいる程です。
そして、現役時代にあまりに体を酷使したあまり、多くの選手が引退後や老後に体の痛みに苦しむ事があるのです。
目次
肉体的な弊害
チャンピオンスポーツを行う選手は、高いレベルになるほど、大なり小なり "怪我" を経験します。
その怪我を理由に競技を引退をしたり、そのスポーツから離れる事も少なくありません。
特に、高いレベルになると、強い力を出す為に、練習やトレーニングで体を極限まで追い込みます。それが「勝つ為に必要」だからです。
しかし、身を粉にするトレーニングにより、徐々に筋肉や関節に負担が掛かり、体に問題が生じ始めるのです。
トレーナーとしては「そうならない様に、強い体を作って欲しい」と思いますが、プロとは言えど、体に無駄な負担を掛けず、完璧な体のコントロールができる人はいません。
結果を出すトップアスリートほど、その事をしっかりと認識し、体作りに取り組んでいる為、大怪我をする事も少なく、選手生命も長い傾向にはあります。
また、女子の体操の選手の様な、高い柔軟性を求められるスポーツ選手も、引退後その "後遺症" に苦しむ場合がほとんどです。
本来関節が持つ可動域を、遥かに超えた関節可動域を持つ選手は、靭帯や関節胞がゆるゆるに伸びています。
筋肉がある現役中は問題なくても、引退後筋肉が落ちると、腰痛や股関節痛などで苦しむ場合があります。
相撲の選手の様な、無理な食事で体を大きくするスポーツ選手も、多くの選手が現役中から "糖尿病" を患っています。
この様に、勝敗や記録を出す事を目的とした「チャンピオンスポーツ」を結果を出す為に "健康を犠牲" にしている事がほとんどなのです。
精神的な弊害
「スポーツが人を育てる」という言葉もある様に、スポーツに真剣に取り組む事で、心身ともに成長できる可能性はあります。
しかし、必ずしもそうとは言えません。むしろ成長できない可能性の方が高いかもしれません。
特に、子供の場合は顕著です。
スポーツが嫌いな大人の多くは、子供の頃に学校の授業などのスポーツで「負けた経験ばかりで、劣等感が強く嫌になった」という様な人も多いと思います。
元々、レクリエーションスポーツとして子供の頃に始めたスポーツも、地域のスポーツチームや部活で「勝敗や記録を強いられ、徐々に楽しさを忘れ "苦痛" とすら感じる様になってしまった」そんな経験をした事がある人もいるかもしれません。
なかなか、負け続ける中でも反骨心を持ち競技に打ち込み、才能を伸ばしていける人は稀です。
子供の場合も、レベルが上がれば、逆境を乗り越え才能を伸ばす場合があっても、少なからず、始めた当初は周囲よりも才能があったり、そこに楽しさや優越感を感じた経験があったはずです。
チャンピオンスポーツの中で結果を出す為には、強い体だけではなく "強い精神力" が必要になります。
後天的に鍛えていく事ができる精神力ですが、実力があっても弱い精神力が弊害となり、本番で結果を出せない選手も多くいます。
プロスポーツ選手でもまだまだ、精神面の特別なトレーニングを行う選手は多くありません。
指導現場で大切なコト
趣味の範疇で楽しさを求めて「レクリエーションスポーツ」を行っているのか、勝負や記録を求めて「チャンピオンスポーツ」を行っているかでは、その "環境や取り組み方" が大きく変わります。
万一、自分の目的と周囲の環境にズレがあると、いずれにせよ楽しむ事が難しくなります。
またチャンピオンスポーツを行う選手は「体に負担がかかる事」や「精神的な強さが必要である事」を知り、スポーツの練習だけではなく、別にトレーニングをしていく必要があります。
まだまだ、チャンピオンスポーツを行っているにも関わらず、これらの取り組みが不十分な人も多いかもしれません。
また、チャンピオンスポーツとして取り組んでいる人が、そのスポーツの指導を行う事があると思いますが、「レクリエーションスポーツとして、そのスポーツを楽しんでいる人も多くいる」という事を理解する必要があります。
僕も経験がありますが、つい自分目線で熱くなりすぎ "楽しさを伝える事を忘れてしまう" という事が、往々にしてあるのです。
どんなスポーツでも、最初はレクリエーションです。
その楽しさを忘れずに持ち続け、それを人に魅せ伝える事が、スポーツの魅力を伝え、普及させる為にも必要になるのかもしれません。
これができるか否かで、結果に圧倒的な差がでる。
最近思う事は、コツコツ続けられていない物事は、そもそも没頭できていないのではないか?
没頭できる物事が見つかれば、コツコツ続ける事は難しいことではないのかもしれない。と
当たり前かもしれないけれど、仕事でも遊びでも没頭が大切。