「もっと股関節を深く曲げて!」
スポーツやトレーニングの指導現場でよく聞くセリフですが、初めて言われた時は「どうやって??」と思った人も多いのではないでしょうか?
「そもそも股関節は知っているけど、股関節を意識して動いた事なんてありません!」
という人も多いかもしれません。
僕の経験則ですが、股関節を上手に動かせる人は、スポーツをやっている人でもあまり多くありません。
では、何を改善すれば股関節を上手に動かす事ができるのか?
今まで多くの人の体を見てきた中で、僕が「これ多いな~」と思う原因TOP3をご紹介します。
目次
ヒップヒンジのやり方とできない原因
スポーツやトレーニングで重要なお尻を後方に引く動作を専門用語で "ヒップヒンジ" と言います。
「ヒップ(お尻)+ヒンジ(蝶番)」の言葉の組み合わせで "股関節を蝶番の様に折り畳む" という意味です。
このヒップヒンジ動作は、そもそもこの動作に慣れていないだけの場合もありますが、多くの場合はそもそもヒップヒンジをしにくい体の状態になっています。
いや、むしろほとんどの場合、どこかに問題を抱えています。
では、極々私的な意見にはなりますが、その原因TOP3をご紹介します。
第3位 お尻まわりが硬い
これは "男性" に非常に多い症状です。
ヒップヒンジを行う際に、お尻を後ろに突き出す為、お尻やハムストリングスの筋肉が適度に伸ばされます。
しかし、これらの筋肉が硬いと、筋肉が縮もうと作用する為、腰が丸まり股関節をスムーズにたたむ事ができません。
その結果、背中が丸まったポジションになったり、上半身を起こしたポジションでバランスをとる様になるのです。
また、腰部の筋肉(脊柱起立筋)が硬くなる事で、股関節を深く曲げようとした時に、筋肉がスムーズに縮まずに腰部が丸まる事もあります。
もし立位体前屈で床に指先が届かない人は、腰部・殿部・ハムストリングスの筋肉の柔軟性を高める様にしましょう。
第2位 腹筋が弱い
これは "柔軟性が高い女性" に多い症状です。
腹筋が弱く、しっかりと腹圧が掛けられない為、骨盤が過度に反りやすく、結果的に適切なヒップヒンジが行えないパターンです。
骨盤の角度は約12度が適切な角度と言われますが、それより腰が反っても丸まっても、股関節の機能を引き出す事ができません。
コアトレーニングなどで腹筋群を鍛え、ヒップヒンジ動作の中で、適切に固定できる様にする事が大切です。
第1位 背中が硬い
特に "ご年配の方" に最も多い症状が、この背中周りの硬さです。専門的に言うと胸椎の可動域制限(伸展と回旋)です。
デスクワークなどで座っている時間が長くなると、猫背になりやすく、背中周りの柔軟性が失われます。
背中周りの柔軟性が失われる事によって、ヒップヒンジ動作で背中が丸まりやすく、結果的に骨盤が寝てしまい、股関節をスムーズに動かす事ができません。
ヒップヒンジ動作には、胸椎の柔軟性を向上させ、肩甲骨の固定(ショルダーパッキング)をしっかりと行う事が非常に重要になるのです。
アスレティックポジション
多くのスポーツで、このお尻を後ろに引く "ヒップヒンジ動作" を行った姿勢が重要になると思います。
その理由は、このポジションが一番素早く動き出す事ができるポジションであるからです。
このポジションを専門用語で "アスレティックポジション(パワーポジション)" と呼びます。
アスレティックポジションを適切にとる事で、お尻が働きやすく素早く強い力発揮を行う事が可能になるのです。
是非、トレーニングを通して適切なアスレティックポジションが取れる様に取り組んでください。