先日「パーソナルトレーナーになりたいんですけど、どうしたら良いですか?」と聞かれたので、超真剣にお答えしてみたら「もう結構です!」と思われるくらい畳み掛けてしまったので、せっかくなので記事にしてみます。
#老害
#ごめんなさい
あんまり偉そうな事は言えないのですが、私的な妄想も含みますので、広い心で読んでいただければ幸いです…
#妄想族
このご質問に対して、世の中の流れを関係なしにシンプルにお答えすると
「今すぐパーソナルトレーナーの求人を探して応募する」です。
大手ジム、パーソナルジム、派遣会社に限らず、店舗を拡大している企業が狙い目です。
ここで気をつけたいのが「パーソナルトレーナーの資格保持はベターであってマストではない」という事です。「資格を取ってから応募する」は、半年から1年の時間をロスします。
ボリュームゾーンのお客様が求めているのは、資格の有無やトレーニングスキル以前に「身なりが整っていておしゃべりが上手な人」です。
ライザップの様に、トレーニングスキルよりコミュニケーションスキルを重視して採用する企業もあります。
「実践しながら、必要があれば資格を取る」と言う形で全く問題ないと思います。
そして「アフターコロナ」の動向を無視する訳にはいきません。
今後の流れを予測せずに会社や業界に飛び込むのはとても危険で、下手をこくと自ら沈没船に乗り込んでしまう危険性すらあります。
そんなこんなで、2010年代に加熱したフィットネスブームも、コロナの影響もあり陰りが見え始めた現在「トレーナーがフィットネス業界で生き残る為に何が必要か?」を一考してみます。
目次
日本のお金の二極化
まず最初に、アフターコロナが囁かれる現在「どの様なサービスが売れ、どの様なサービスが売れなくなるのか」を考える必要があります。
当たり前ですが、パーソナルトレーナーとして、死なない為には "サービス" を売らなくてはなりません。
ここでまず「自分がどの様なサービスを売りたいか」ではなく「どの様なサービスに需要があるか」を考えなくてはなりません。
パーソナルトレーナーによくありがちなパターンは「自分は体を鍛える事が得意(好き)だから、ボディメイクを売りにしていこう!」と、需要を無視して自ら赤い海に飛び込むパターンです。
#溺れかけのトレーナーは本当にたくさんいると思います
もちろん、圧倒的な実績やビジュアル、コミュニケーションスキルを持ち合わせていれば問題ないと思います。
しかし、多くの場合はそうではありません。ボディメイクの大会で優勝して、もてはやされる時代も、6~7年前には終わりました。
#むしろ一瞬しかなかった
では、どの様なサービスに需要があるのか?
あるデータを見てみます。
実は「平均で3000万円の貯金を残して死ぬ」と言われる、貯金大好き "貯金大国の日本" ですが、PGF生命の貯金額に関する調査によると、2021年に還暦を迎える人の約25%は「100万円未満」です。
#やばない?
この25%と言う数値は過去最高だそうですが、一方で貯金額が「5000万円以上」も約17.4%と増加傾向にあります。
データを見てわかる事は、貯金額が「100万~1000万円」の層がジリジリと減っていると言うことです。
#ジリ貧
つまり、日本は中間層が減り「富裕層が増え、貧困層が増える」という二極化が起き、今後もこれは加速していく事が予想されます。
そして、もうひとつ抑えておくべきポイントは、日本の "人口ピラミッド" です。
少子高齢化が爆速で進み、おおよそ3人に1人が65歳以上の日本人のボリュームゾーンは「40~54歳と65~74歳」です。
#70歳はボディメイクじゃない
これら現状を踏まえると、大手スポーツジムの相場である「6000円でボディメイクを売りとしたパーソナルトレーナー」の需要の減少は、当然の結果なのかもしれません。
これから売れるサービスとは?
日本では以上の様な「富裕層と貧困層の二極化」が起きた結果
「安いものが売れなくなり、高いものが売れる」という分断が起き始めています。
給料が上がらず、税金や生活費ばかりが上がっていれば、可処分所得で減るので、当然と言えば当然の結果です。
コロナの影響もあると思いますが、最近はジムに通わずに「YouTube見てトレーニングしてます!」と言う声を聞く機会が増えた気がしています。
#B-lifeの一人勝ち
じゃあ「サービスの値段を上げたら売れる様になるのか?」と言われたら、そんな簡単なものではありません。
そもそも今ある安いサービスを値上げしたら "値上げした分の価値" が提供できなければ、既存客は離れるだけでなく、そもそも売れません。
当たり前ですが、高いサービスに求められているのは "高いクオリティ" です。
富裕層が求めているのは、安さではなく価値(効果)です。高くても価値があるものには需要があります。
更には、下町の大衆ジムで高いサービスを販売しても、そもそもリリースする畑が違うので売れません。
高いサービスを売る為には "富裕層が集まる場所" にサービスをリリースしなければ売れないのです。
フィットネス業界の市場規模は約7100億円(2019)と小さく、日本のフィットネス人口も約4.1%と、先進国の中で30位の数値です。
2010年代はフィットネスブームの追い風もあり、増益傾向にあったフィットネス業界も、コロナの影響で苦境に立たされ、倒産・廃業の数が過去10年で最多となり、76%の企業が減益しています。
同時に増え続けたパーソナルトレーナーの需要も減り、現場での肌感覚では、特に高齢者層がごっそりと抜けた大手スポーツジムで働くトレーナーへの影響が大きい様に思えます。
この様な現状を踏まえて「アフターコロナに需要が回復するのをただただ待つのではなく、サービスの価値を上げ、時代の流れにあった商品を売る方向にシフトする」これがアフターコロナでパーソナルトレーナーが生き残る為には、必要になるはずです。
具体的に「どの様なスキルが必要になってきているのか?」は以前もお話しした事があるので、そちらも参考にしていただければと思います。
フィットネス業界の苦境はまだまだ続きそうですが、死なない様に、沈没船に乗り込まない様に頑張って生き残りましょう!
アフターコロナは、富裕層に限らず、時間や物に対する価値が変化し「安いものを大量に買う今までの時代から、少量でも高くて品質が良いものにお金を払う時代」に変わるのではないかと思っています。