インナーマッスルと聞くと、体の深部にある「小さくて出力の弱い筋肉」をイメージする人も多いと思います。
#僕もそうでした
しかし、人体解剖で見たインナーマッスルは、そのイメージとは "全くの別物" でした。
例えば、肩甲骨の "ローテーターカフ" と呼ばれる4つの筋肉は、"広背筋・僧帽筋" といった、有名なアウターマッスルよりも分厚く、骨にバチっとついていました。
同様に、背中のインナーマッスルのひとつである "多裂筋" も、分厚くその存在感は確かなものでした。
少し前の出来事ですが、SNS上でインナーマッスルを鍛える時は「低強度でやるべき派」と「筋肉なので少しずつ強度を上げるべき派」の間で "論破合戦" が勃発していました。
#もはや大人の喧嘩
#SNSでの論破って不毛すぎ
#というか論破そのものが不毛
解剖学的に見ても「インナーマッスル=弱い筋肉」という認識は大間違いなのですが、じゃあどうやって鍛えるのが正解なのか?そもそもなぜ鍛える必要があるのか?について "解剖学的な視点" で考えてみます。
目次
インナーマッスルの問題点
インナーマッスルは、体の深層部にある筋肉で、浅層部のアウターマッスルが「強い力を発揮する役割」をしているのに対し、インナーマッスルは「関節を安定させる役割」をしています。
その為、インナーマッスルが弱いと関節が安定せず、アウターマッスルとのバランスが崩れると、関節が不安定な状態で負荷がかかり、怪我を引き起こす可能性があるのです。
SNS上での論破合戦のお話に戻りますが、インナーマッスルも筋肉なので、鍛える場合は「強度を上げていく事で強くなる」という事は間違いありません。
これは解剖でも確認できましたが、どう考えても "分厚く出力が強そうなインナーマッスル" も、多く存在しています。
じゃあ「ちょっとずつ強度を上げて鍛えるが正解!」と結論を出したいところですが、ここには "大きな問題" があります。
それは、「体の構造上、強度が上がるとアウターマッスルが活躍してしまう!」という問題です。
例えば "肩甲下筋" を鍛えるこの様なエクササイズ
このエクササイズの強度を上げていくと、大胸筋が「出番だ!」と勘違いし、肩甲下筋の仕事を奪ってしまうのです。
#インナーマッスルだけを高強度で鍛える事は不可能
では、どの様にインナーマッスルを鍛えていくべきなのでしょうか?
インナーマッスルを鍛える目的
そもそも、インナーマッスルを鍛える理由は、そのインナーマッスルが「弱い!」ではなく「使えてない!」です。
#ここテストに出ます
インナーマッスルが、ある運動動作の中で、必要な筋肉として「スイッチが入っているか否か」です。
つまり「何らかの原因で、スイッチが入らなくなってしまったインナーマッスルの、スイッチが入る様にする事」が、一般的な低負荷で行うインナーマッスルのトレーニングなのです。
#これで筋肉を強くする訳じゃない
そして、スイッチが入る様になったら、ベンチプレスやスクワットの様な、アウターマッスルを鍛えるトレーニングの中でも働き始め、インナーマッスルも同時に発達していくのです。
#結論アウターを鍛えるべき
筋肉は、そもそも連動して働くものであり、インナーマッスルとアウターマッスルが同時に働くのが普通です。
この連動にエラーが起きている場合の "リハビリ" としての役割が、インナーマッスルのトレーニングなのです。
#リハビリが終わった早く次に行くべき
国内では "体幹トレーニング" が一世を風靡した事もあり、俗にいうコアトレの様な、インナーマッスルを鍛えるトレーニングが市民権を得ていますが、インナーマッスルばかり鍛えていても決して体が強くなる訳ではありません。
#限界値がだいぶ低い
是非インナーマッスルを鍛える目的を正しく理解し、何か動作にエラーがある場合に正しく取り入れてみてください。
向こう側が透けて見えそうなこれらの筋肉に、どう考えても関節を支える力はありません。
じゃあ何の為にあるのか?それはメカノレセプターとしての役割です(またマニアック笑)