
▷「結局ドローインとブレーシングどっちが良いの?」と思っている方
▷「そもそもブレーシングって何?」と思っている方
恐らく "ドローイン" という言葉は耳にした事があっても "ブレーシング" という言葉にはあまり馴染みがない人が多いかと思います。
実は "ドローイン" は腰痛改善の為のエクササイズとして十数年前に注目を浴び "腹横筋" と呼ばれる体幹部のインナーマッスルを鍛える手法として急速に広まりました。
そこで 『腹横筋を鍛える = 体幹が安定する』と言う様な安直な認識だけが先走り、何でもかんでも体幹の安定させたい時に『ドローインしろ!』という誤用が蔓延してしまったのです。
ドローインの蔓延とタイムラグ
そもそもドローインが流行った背景を紐解くと、オーストラリア人の研究者によって腰痛患者は腹横筋(腹部のインナーマッスル)が上手く使えていない事が発見され、腰痛改善エクササイズとしてドローインを提唱しました。
ドローインは 『腹部を強く凹ます事によって、深部にある腹横筋の働きを強める』 という手法です。
複数ある腹部のインナーマッスルの中で "腹横筋" だけをピックアップし他の筋肉を働きを軽視したこの手法に、冷静になって考えると『一方向だけの力を強めても腹圧は高まらず、腰椎や骨盤を安定させられない』という事に容易に気づく気がしますが、当初は何故か疑われる余地もなく運動の中でも体幹部を安定させる手法として認識され、拡散されていきました。
僕も含め10年程前はドローインを使った指導をしていたトレーナーも新しい情報を見聞きし誤りを認め、現在はブレイシングを推奨している人は多くいます。
それほど当時は、誤った認識が蔓延していたのです。
しかし、スマホが普及し簡単に最新の情報に触れられる現代でも、新しい情報は蔓延した "誤った常識" に埋もれてしまっています。
身体作りも最新の情報と世の中に普及している情報には、数年から十数年単位の "タイムラグ" が存在します。
未だに『運動中に水を飲むな!』とか『体を柔らかくしたきゃ酢を飲め!』とか言う人がいたら、激しくつっこまれるかと思いますが、つまりはそういう事です。

ブレーシングを使うべき理由
対する "ブレーシング" は『アウターの筋肉も含め外からの圧力に抵抗する様にお腹に力を入れ、腹部全体ををボールの様に膨らませる』 という手法で、お腹を膨らませ正に "腹圧" を高めます。
腹部のインナーマッスルには
◆ 腹横筋
◆ 内腹斜筋
◆ 多裂筋
◆ 骨盤底筋群
◆ 横隔膜
があります。
これらの筋肉が腹部の深層部を四方八方から包み込む様に覆い、同時に緊張させる事で腹圧が高まります。
例えるなら、ゴムボールを前後左右上下の八方から、同時に押さえつけた状態です。ボールの中の圧力が高まる事が想像つくかと思います。
腰椎は適度な前湾を、骨盤は約12度の前傾角度を理想のポジションとするのに対して、ドローインで腹部前方からの圧力を高めると腰椎や骨盤のポジションが崩れ易くなります。
あるいはドローイン行いそのポジションを維持する事で、腰部への "無意味な負担" を生み出すリスクが高まります。
普段ウェイトトレーニングで高重量を扱っている人なら、スクワットやデッドリフトで挙上する際にドローインでお腹を凹ませたりなんかしたら力が入らない事は体感的にもわかると思います。
腹横筋を鍛える為にはドローインが有効である事は確かです。
しかし、実践の動作の中でドローインを使う事は、ある意味自爆行為で何一つメリットがないと個人的には思っています。

まとめ
体幹部を安定させる手法として "ドローイン" を使うという誤った認識が蔓延しています。
しかし "ブレーシング" を使う事でしか適切に腹圧を高め腰椎や骨盤を安定させる事は困難です。
もし今までドローインを使っていたとしたら、今からブレーシングに切り替える事を強くお勧めします。
指導者の立場であれば 『やっぱドローインよりブレーシングが良いみたい!てへぺろ』で今日から方向転換してみてください。きっとお客様も最新(?)の謎の横文字を連呼するあなたに惚れ直すハズですよ。